• Division of Microbiology (Kanda lab), Faculty of Medicine, Tohoku Medical and Pharmaceutical University

ゲノム編集技術を応用した完全長EBウイルスゲノムの解析

EBウイルスゲノムは約175キロべースというウイルスの中では大きな部類のウイルスゲノムを持っています。この175キロベースのゲノム上には、80以上のウイルスタンパク質がコードされており、さらにノンコーディングRNAやウイルスのコードするマイクロRNAが約50個、反復配列もたくさんあります。最近次世代シークエンサーの応用がすすみ、ウイルスゲノム全長をシークエンスできるようなり、ウイルスゲノムDNAには想像以上の多様性が存在することが明らかになってきました。しかし完全長ウイルスゲノム塩基配列の決定は今なお決して容易ではありません。私たちのグループは、ゲノム編集技術を応用することで、世界で初めてEBウイルス陽性胃がん細胞株2株から完全長ウイルスゲノムDNAをクローン化し、全塩基配列を決定しました。この成果を発表した2016年の論文(リンクはこちら)はspotlight論文(下図)に選ばれ、関連特許(特開2017-135992)も出願しました。現在、その技術をさらに発展させるための改良をすすめています。例えば、細胞株からのウイルスゲノムクローン化にとどまらず、がん組織などからウイルスゲノムをクローン化するための技術開発、クローン化したウイルスゲノムDNAから感染性ウイルスを再構成する過程の効率化などを試みています。