前回更新から今に至るまで、いろいろなことがありました。6月末から7月初めのボストン国際学会(EBV-KSHV meeting)、その前後に2年次微生物学実習、8月は科研費申請書書き、8月末から学生と課題研究の実験、そして9月半ばの福岡癌学会などです。
研究面では、ボストン国際学会と福岡癌学会でそれぞれ刺激を受けました。その一部は学生の課題研究のテーマとなりました。
福岡癌学会では、いきなり「空間トランスクリプトーム」に衝撃を受けました。(昨年、癌学会を欠席したため)2年ぶりの参加でしたが、浦島太郎の気分を味わいました。受注解析のお値段を聞くと、「富める者は富む」という格言を思い出します。
癌学会ではecDNA(extrachromosomal DNA)が一つのトピックになっていました。ecDNAはその昔double minuteと呼ばれていた微小染色体と同義です。Salk InstituteのGeoff Wahl研究室にサバティカルで滞在した清水典明さん(広島大学名誉教授)は、もともと注目していたdouble minuteとmicronuclei(微小核、こちらもトピックになっています)の仕事をGeoffのラボで、そして広島大学に戻ってから大きく発展させました。数年前より、double minuteはecDNAと名前を変えて、トップジャーナルをにぎわすようになりましたが、語られている現象の多くは、清水さんが過去に観察・報告していたものです。
私もGeoffのラボでdouble minuteの仕事をしましたが、帰国後は現在のEBウイルス研究にシフトしため、直接double minuteを研究材料として扱うことはありませんでした。最近のdouble minute/ecDNAへの注目ぶりに大変驚いています。
旧知の田沼延公さんのお誘いにより宮城県立がんセンターでセミナーをするのですが(10月18日・金曜日17:30~)、このご時世ですのでecDNAとEBウイルスエピソームに関する私の経験をお話しする予定です。題して「ecDNAとEBウイルスエピソームの不思議な関係」。乞うご期待。