• Division of Microbiology (Kanda lab), Faculty of Medicine, Tohoku Medical and Pharmaceutical University

旭川EBV meeting 「Principles of Virology」

先日、旭川で日本初開催となる国際EBV meetingが原渕保明会頭のもとで開催されました。ライブ発表と、その後のオンデマンド配信を組み合わせたハイブリッド開催でした。発表者は事前に口演動画を作ってアップロードしておき、現地参加する発表者はライブで発表しても良いし、動画を流しても良いというシステムです。Invited talk, plenary talkの日本人演者の方々は現地会場に来られてきちんとライブで発表されていました。一方、私は事前に録った動画を流して楽をしてしまいました。次の演者の若い先生がちゃんとライブで発表され、内容も素晴らしかったので肩身が狭かったです。またライブで発表された別の先生は「札幌までの道中でスライドを手直したのでライブで発表した」とおっしゃっていましたが、やはり最後の最後まで少しでも良い発表をすべく頑張る姿勢を忘れてはならないと思いました。感心している場合ではないので、次の機会までこの気持ちを忘れないようにしたいと思います。

それにしても国際学会にまた行けるようになるのはいつの日になるのでしょうか?私の初めての国際学会発表は大学院4年目に参加したCold Spring Harbor meeting(DNA tumor virus meeting)での発表でした。初めての国際学会参加だったので、ポスター発表の賑やかさ、バンケットで出たロブスターの美味しさ、いろいろな方との出会いなど、様々な情景が印象に残っています。夜のセッションの開始時に、座長が書いた発表者名のホワイトボードに自分の名前あるのを見た時の何とも言えない緊張感は今でも思い起こします。

話は変わりますが、以前から名前だけ聞いていた「Principles of Virology, volume I and II」(改訂第5版、2020年出版)を購入しました。ウイルス学の教科書としてまず名前が挙がるのが「Fields Virology」という本ですが、「Principles of Virology 」はびっくりするほど「Fields」とは違う本でした。「Principles of Virology 」の各章はウイルスの機能別に構成されています。「RNAテンプレートからのRNA合成」「DNAテンプレートからのRNA合成」「逆転写」などについて、通常、ウイルス学各論でバラバラに論じられる内容について、ウイルス横断的に書かれています。これはウイルス学初学者には本当に有難い書き方です。しかも内容は細かすぎず、しかも大雑把ではないという絶妙の線を行っています。まだ拾い読みしている段階ですが、ちょっと読んだだけでも知らなかったことがいくつもありました。この本はJane Flint教授が率いる5人のメンバーの共著です。Flint教授はPhillip Sharp教授のお弟子さんということで、このような師弟関係にアメリカのサイエンスの凄みを感じずにはいられません。

さて明日から三年次学生の課題研究が始まります。良い機会なので、以前からやりたかった新しい実験をやってみることにします。

旭川でのbiannual EBV meetingにて 2021年のHenle award受賞者はProf. Paul Farrellでした(今年は2020年の会の延期開催です)